先日、はまリハで訪問している施設で「車椅子シーティング」の勉強会を行いました。
車椅子のシーティングとは、いわゆるフィッティングみたいなもの。自分に合わない車椅子を使ってしまうと姿勢が崩れたり、動きにくかったりいろんな不具合が出てきます。それを改善するために、座面や足置きの高さを調節したり、タオルやクッションを使ってより良い座位姿勢の獲得を図る必要があるんです。
ただこのシーティング、意外と難しい…車椅子のシーティングは、その人によって全然やり方が変わってくるんです。
ということでこの勉強会は、リハビリスタッフだけでなくシーティングエンジニアという車椅子に関するプロの先生をお招きし、実際に利用者さんのシーティングを改善していく形で行なっています。
当然みなさん一人一人に合わせて調節していくものなのですが、基本的な評価項目や流れはみなさんにとって参考になる面もあると思います。ということで今回の勉強会での学びを書いていきたいと思います。
マット上での評価(臥位評価)
車椅子のシーティングですが、大事なことはマット上での評価(臥位評価)です。
ここで下肢の長さや姿勢を評価しておきます。
・下肢の長さの測定で、座面の長さを調整します。(指1〜2本分くらいの隙間が必要です)
・脚を持ち上げるときは骨盤が動かないように注意です。股関節が硬くて骨盤が動くようだと、仙骨座りといって前滑りしていく可能性が高くなります。
・真上から見て、全体的な姿勢の歪みをチェックします。この時、骨盤の位置をまっすぐにしておくことが大事です。
座った状態での評価
次に座った状態で腕を上げてみます。これで、座っている姿勢の安定性をみることが出来ます。
車椅子の調整
バックレスト(背もたれ)
バックレスト(背もたれ)の調整をするときは、ビニール袋を使うとGood!!
一番上のところを仮止めして、下から締めていくようにしましょう。
この方は円背傾向が強かったため、顔が下を向いてしまう傾向がありました。全体的に背もたれを後傾させ、円背部分の背もたれ少し緩めることで顔が前を向けるように調整しています。
この方は座った時にかなり後ろにもたれる傾向がありました。ですので、背もたれをゆったりめに設定しています。
タオルを使って調整
この方は背骨が少し曲がってしまい、体幹が右側に傾く傾向がありました。ですので、右わき腹にタオルを挟むことでそれを止めています。同時に、このタオルだけだと左のお尻が浮いてしまうので、左の骨盤部分も安定性を高めるために小さなタオルを挟んでいます。その他、アームレストの左右を入れ替えて両サイドのスペースを作ったりもしました。
ここでは、座面にあるクッションの下にタオルを挟んでいます。脚の長さと車椅子の高さが合わなかったための調整ですね。
その他
背もたれの調整のため、車椅子を分解しました。簡単に背もたれの調整が出来ないタイプのものでも、こうやってネジを外していくことで角度を変えることが出来るんです。
足の親指に褥瘡がある場合、普通にしておくとつま先が地面についてしまうケースがあります。(この方の場合はフットレストを低めに設定していたので、余計に地面と足が近かったです)
こうやって板を使うことで、足の前滑りを防ぐことが出来るんです。今回のはとりあえずの代用で板を入れましたが、実際には左右が分かれるように板を置く必要があります。
まとめ
今回は3名の車椅子のシーティングを行いました。この3名、特に座った姿勢が乱れていた方の車椅子姿勢は調整後に全然変わりました。明らかに良い姿勢になっていたんです。それぞれ違ったアプローチでシーティングを行なったのですが、やはりその人に合わせたシーティングが必要なんだなと再確認です。
*実施した評価、アプローチを全て載せれた訳ではありません。あくまで参考にしていただければ幸いです。
横浜市の訪問看護・リハビリ・デイサービスなら「はまリハ」
コメント